歴史と沿革

臨海工房は、日本の伝統的な船大工技術と現代の美意識を融合させ、航海に新たな価値を創造するために設立されました。「臨海」という名は、海に臨む工房として、常に海と共に生き、その恵みである木材に命を吹き込む我々の精神を象徴しています。

1985年: 創業

創業者である田中清一が、故郷の港町で小さな木工所を立ち上げました。当初は地元の漁船の修理が中心でしたが、田中は伝統的な木造船建造技術の保存と継承を志していました。

1998年: 伝統技術への回帰

海外からの大型ヨット建造技術を取り入れつつも、日本の「和船」に代表される繊細な木工技術と耐久性のある構造美に改めて着目。数々の古文書を研究し、失われつつあった伝統工法と素材選定の知恵を再構築しました。

伝統的な船大工の道具と日本の木材

2010年: 国際的な評価

現代のニーズに合わせたカスタムボートのデザインと伝統技術の融合が高く評価され、海外からの依頼が増加。日本の木工技術の粋を世界に発信する機会を得ました。

臨海工房の広々とした作業場

現在: 未来への挑戦

臨海工房は、単なる船を造るだけでなく、お客様の夢を形にするパートナーとして、持続可能な素材の利用と若き職人の育成にも力を入れています。日本の美しい海を守りながら、次世代へと「木の文化」を繋いでいきます。

船大工紹介

臨海工房の主任船大工、田中太郎の肖像

田中 太郎 (主任船大工)

幼い頃から父である清一の背中を見て育ち、木材の温もりと海の匂いの中で船大工の道を目指しました。京都の伝統木工職人のもとで数年間修行を積んだ後、臨海工房に合流。伝統的な継ぎ手や仕口といった技術を現代にも応用し、細部にまで魂を込めた作品を生み出しています。

「木にはそれぞれ個性があり、語りかけてくるものがあります。その声に耳を傾け、最高の形で水に還してやることが、私の使命です。」

田中 太郎

素材と工程へのこだわり

臨海工房では、すべての作品において素材選びから最終仕上げまで、一切の妥協を許しません。品質、持続可能性、そして永続的な美しさを追求します。

厳選された最高級の海洋用木材のクローズアップ

私たちは、世界中から厳選された最高級の海洋用木材のみを使用します。木材の種類、木目、強度、耐久性を熟知し、それぞれのプロジェクトに最適な材を供給元と密に連携を取りながら調達しています。森林管理協議会(FSC)認証を受けた持続可能な供給源からの材料を優先し、環境への配慮も忘れません。

素材の自然な表情を最大限に引き出すため、伝統的な木材処理技術と現代の保護技術を組み合わせ、何十年も厳しい海洋環境に耐えうる作品を創造しています。

制作工程

1

企画・デザイン

お客様の夢とビジョンを詳細にヒアリングし、経験豊富なデザイナーが形に落とし込みます。複数回の打ち合わせを重ね、理想のデザインを確立します。

デザインスケッチと打ち合わせ風景
2

木材選定・加工

プロジェクトに最適な木材を厳選。熟練の職人が木目や性質を見極め、伝統的な工具と現代的な機械を駆使して丁寧に加工します。

職人が木材を検査し選定する様子
3

組み立て・艤装

木材一つ一つが持つ本来の力を引き出し、堅牢かつ美しい構造へと組み上げます。高度な技術を要する継ぎ手や仕口で、耐久性と美しさを両立させます。

船体組み立て中の伝統的な木工継手
4

仕上げ・品質検査

丹念な研磨と塗装を繰り返し、木材本来の輝きを引き出します。厳格な品質検査を経て、臨海工房の誇る作品としてお客様のもとへ送り出されます。

職人が木材に最終仕上げを施すクローズアップ